このブログを検索

2018年10月4日木曜日

実質賃金批判。だけど、こうすれば実質賃金があがるって示している人、誰もいないよね?

凝りもせず、未だになくらない、実質賃金ガー。

この手のは大体古いデータを持ってきますね。
2014年てwwww

まず、実質賃金はここ数カ月上がってます。
出典:厚生労働省・毎月勤労統計調査

しかしこの上げるって実はそう簡単なことじゃなくて、韓国を見ればわかるように、実質賃金をあげるということは、失業率を増やすことを意味します。

に対して、あちこちで出回っている、例えばこんなの。

これは、比較の仕方として、フェアではありません。  
*私が作ったものではありませんが、あちこちで出回っているので、使わせていただきました。
解説文はこちら--アベノミクスで格差拡大!安倍政権で貧困層が急増して日本の国力が失われた悲惨な国民

なぜかというと、
  1. まず、データが古すぎる。今、2018年なのに、2014年で止まったデータを出すとはいかにもトリッキー。
  2. そして、1990年といえばバブル絶頂!。バブルと比較して何の意味があるのでしょうか?ひとまず、ドン底からの脱出が課題だったわけで、バブルにもっていくのは次のステージです。
ちなみに、私はこれが不思議でならず、というのは新しいデータを持ってくることの方が簡単だろうに。
冒頭で私が示したデータはここから持ってきたものです。
ね!新しいデータは右上を見ればOK。
4年前のデータ・・・えーっと、1990年のデータ・・・えーっと。
不思議だな~~~。

しかもです。第2次安倍政権が始まったのは2012年。
当然、まだまだ前の政権の状況を引きずっていますから、2014年をもってアベノミクスの評価をすること自体、不適切です。

にもかかわらず、どうしてわざわざ古いデータを差し出すのか?また、どうしてバブルと比較をするのか?
私には悪意を感じます。

もちろん、数字の分析には長いトレンドと短いトレンドとありますし、2014年のデータをもってきても問題が無いときもあります。しかし、今必要なのは直近の課題を克服することですから、1990年との比較ではありません。
数字云々以前に、課題の整理が出来ていない。

これを作った人は、数字に慣れてない人、あるいは悪意の持主、どちらかでしょう。
数字を比較するときは、同条件で比較をする、これが大原則。
バブルとドン底から脱出を比較してどうするよ!!

なお、少し角度を変えた例を出します。
共産党の落選中の池内さおりさんが最低賃金を時給1500円に!と言っております。それが出来たら誰もがうれしいでしょう。
でも、今の若い人たちは、こういう甘い言葉にはつられません。
これが不可能であることを、見抜いているのでしょう。騙されません、彼らは。


そもそも、どうして実質賃金を増やすと失業が増えるのか?

これについて確認してみます。
いろんな説明の仕方があるのですが、これは自然の摂理なので、簡単な理屈で説明ができます。
目の前にケーキがあるとします。8人いるので8等分しようとします。ところが誰かが「一人分をもっと多くしてほしい!」と言いました。それで試しに大きめに切ったら6等分になってしまい、2人は食べることが出来ませんでした。
これが失業の発生です。

これって自然の摂理に反していることが分かりますよね?
じゃあどうすればいいのか?
そうです、大きなケーキを買うこと。であれば、全員大きな一切れを食べることが出来ます。しかし、大きなケーキを買うとなると、今度はお金がかかります。そのお金をキープするためには今までよりも多く稼がないといけない、つまり、経済成長をさせないといけない。
これがアベノミクスです。
もちろん、実際の経済は物凄い複雑で、これはシンプルな説明に過ぎません。
言い換えれば、実質賃金を増やしながら失業率の減らせると恐らくノーベル賞が取れる。それくらいに難しいのです。
しかし、実質賃金は最終目標として達成しないといけません、なぜならそれが経済成長の目標だから。
経済成長の定義はいろいろあるのですが、一般には、ソロー・スワンモデルといって、ひとりあたりの実質GDPの上昇を示します。簡単にいってしまえば、ひとりあたりの稼ぎの上昇 ≒ ひとりあたりの実質賃金の上昇。
そうです。 経済の成長は元々このように、大きな矛盾を克服していくことなのです。
そのため、批判はとても多いですが、失業率を減らさずに実質賃金を上げる方法を提示する人は誰もいません。
何故か?前述のとおり、自然の摂理に反することなので、不可能だからです。

実質賃金の上昇は、少しずつやっていくしか手はない。

だから、経済にはラグというのがあるので、それを利用しながら、少しずつやっていくしか手はないのです。
経済の成長は、下図の緑の線のようにあげて、ある程度のスパンをもって、総じて、赤い破線のようにしていくしか、方法はないのです。
前述の厚生労働省が示した数字を見ても、あがったりさがったりしています。
それしか方法はないのです。 

これを経済学ではトレードオフと言います。

何かを満たそうとすると何かを諦めないといけない、ということ。
例えば、旅行をしようとすると、楽しさは増えますが、手持ちのお金は減ります。
失業率と実質賃金はトレードオフの関係にあります。
もちろん、上図のような緑の線のサイクルを早めるべき、という議論は多いに有効です。しかし、それすら誰も提示している人はいません。要はそれだけ難しいということです。

どうして実質賃金の上昇が遅れたのか?
間違いなく消費税増税の影響でしょう。だけどこれはアベノミクスじゃありません。法律で決まっているからいつかはやらないといけない話。(私は増税反対)


一方で、貧困の発生は頭の痛い問題であることも事実。

だけどこれも非常に難しいです。
前述のとおり、失業率の上昇を覚悟しないといけないのと、高齢者の増大が大きな原因でもあるので、生産世代ではない高齢者にどれだけ予算をかけるのか?かといって、若年層に投資しないと20年後が危ない。

批判するだけなく、もっとじゃあどうすればいいのか?を考えていきたいものです。
批判ばかりというのはほんと悲しいことです。
もちろん、自由の国ですから批判はOK。
だけど、超難しい、ということをまずは知ること、これが大事だと思います。

0 件のコメント :

コメントを投稿